2014.5.29 News / 登山 / 人物・団体 /

南アルプスの植物守れ 巨摩高生物部 入山者の影響を定点観測

 南アルプス市小笠原の巨摩高生物科学部は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパークに登録される見通しとなった南アルプスの自然を守っていこうと、動植物の保護活動を始めた。櫛形山のトレッキングコースでは植物の増減を調べるために定点観測を行い、人が歩くことによる植物への影響を探っている。

 文部科学省の理数教育を重点的に行う「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の事業の一環。櫛形山はエコパークの緩衝地域となっていて、2013年にトレッキングコースが開設された。多くの登山者が訪れるようになったことから、調査対象に選んだ。

 人によって植物が踏み固められる「踏圧」による、植物の個体数の変化について調べる。トレッキングコースに1メートル四方の目印を付け、観測地点を設定。年に数回、来年以降も同じ時期に観測を続け、長年にわたって変化を調べる。観測地点には、希少種のマンネンスギや、湿った山地の日陰に生息するマルバタケブキなどが自生している。

 調査結果を踏まえた上で、踏圧の影響を受ける希少な植物には、名前や植物の特徴を記したプレートを取り付ける。県高校文化連盟が主催する自然科学研究発表会でも調査結果を発表する。

 このほか、同部は、ゲンジボタルの保護にも取り組んでいる。昨年から校内の水槽で、幼虫を養殖。4月には同市のほたるみ橋公園で50匹を放流した。今後は、河川清掃を毎月行い、水質の変化とホタルの発生状況の関係を調べる。

 同部の3年の杉山一輝部長は「エコパークに登録されれば訪れる人も多くなる。人間が動植物にどのような変化を与えているのかを調査して、できるだけ今の状態を保てるように保護していきたい」と話している。

 【写真】定点観測するエリアの目印を付ける生徒=櫛形山

(2014年5月29日付 山梨日日新聞)

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