「山梨県レッドデータブック」完成 絶滅の恐れある動植物628種掲載 ホテイアツモリやトノサマガエル保護策検討

 絶滅の恐れがある山梨県内の動植物の情報を掲載した初めての「山梨県レッドデータブック」が17日、完成した。628種を掲載し、絶滅の恐れが大きい「絶滅危惧(きぐ)種」には高山植物のホテイアツモリやキタダケソウ、南アルプスに生息するライチョウなど414種を指定した。国のレッドデータブックでは、絶滅の恐れが指摘されていないトノサマガエルも、個体数が減少する恐れがある「準絶滅危惧」に指定。県内では絶滅の危険性は低いが、全国的にみた場合、分布が限定されているオオムラサキなどを独自に「要注目種」に位置付けた。県は掲載された動植物の保護に向け、21日に本格的な保護策を探る検討委員会を立ち上げる。

 県版レッドデータブックは2002年度-04年度の調査に基づいて作成。確認された個体数や分布状況から、絶滅の危険性などに応じて9段階に分類して掲載した。

 「絶滅危惧1A類」(ごく近い将来に野生種絶滅の危険性が極めて高い)に指定されたのは動物では、ライチョウやイヌワシなど、植物ではタカサゴソウやホテイアツモリなど、昆虫ではハッチョウトンボなど計128種。このうち5-6月に花をつけるホテイアツモリは、県高山植物保護条例で採集が規制されているが、櫛形山では絶滅寸前となっている。

 キタダケソウは個体数が比較的多いなどとして、次のランクの「絶滅危惧1B類」に指定した。

 同一種でも、県版と国版の評価が異なるケースもある。オオタカは国版の評価より絶滅の可能性が低い「準絶滅危惧」に指定。20-30年前まで個体数が少なかったが、最近は河川敷や農耕地を中心に確認情報が増えていることが主な理由。

 また身近な動物とされてきたトノサマガエルは、峡東地域を中心に果樹への転作が進んで生息地が狭まったために減少。「準絶滅危惧」に指定された。水生昆虫のタガメは、餌となるメダカやドジョウの減少により戦後に激減。国版では「絶滅危惧2類」だが、県版では「絶滅危惧1A類」となった。

 「要注目種」は動物37種で、北杜市が全国有数の生息地となっているオオムラサキや、カジカなどを指定。国版で「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されているニホンツキノワグマ、峡北地域で生息数が多いオオクワガタなどが含まれた。

 県内の在来種2933種に占める絶滅種や絶滅危惧種などの割合は16・6%で、国版(22・9%)より低い数字。県レッドデータブック作成委員会の中村司委員長は「県内は比較的、動植物の生息環境が良好に保全されているとみられる。しかし、カエルなどの両生類は水中、陸上の環境変化の影響を受けやすいことから、該当する動植物に合わせた保護策が必要」としている。

 21日に専門家で発足する希少野生動植物保護対策検討委員会では、掲載種ごとに詳細調査を実施。06年末をめどに、採取の禁止や立ち入り禁止区域の指定などを含め、種類ごとの具体的な保護策をまとめることにしている。

(2005年6月18日付 山梨日日新聞)
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