高山植物保護へ南ア署などが合同パトロール 登山者に注意喚起

 環境省や南アルプス署などは15日から、合同で南アルプス・広河原周辺の林道で、高山植物を守るためのパトロールを始めた。昨年6月に同所で高山植物のミヤマハタザオを無許可で採取したとして、同署が男性2人を摘発したことを受けた対応で、初日は関係者がパトロールや登山者に注意を呼び掛けるチラシを配るなどした。

 ミヤマハタザオはアブラナ科の高山植物で、広河原周辺に群生。チョウの愛好家から人気の高い希少種のクモマツマキチョウが卵を産み付けるため、盗掘されることがある。昨年摘発された2人もチョウの愛好家で「チョウの卵が欲しかった」と動機を供述していた。

 パトロール強化は昨年の事件を受けて実施。環境省は高山植物の採取が自然公園法違反になることを知らせる張り紙を作り、同署は盗掘を見かけた場合に通報を呼び掛けるチラシを新たに作ったほか、定期的に林道を見回る。

 初日は環境省や同署のほか、県や南アルプス市の担当者11人が林道を巡視。夜叉神の森駐車場などにポスターを張ったほか、登山客にチラシを配るなどした。この日のパトロールでは盗掘の痕跡はなかったが、環境省の担当者は「チョウが卵を産み付ける5、6月を中心にパトロールを強化する」としている。

 【写真】夜叉神の森駐車場周辺に注意を呼び掛けるポスターを張る南アルプス署員ら=南アルプス市芦安芦倉

 (山梨日日新聞 2013年5月16日付)

月別
年別