2013.5.15 News / 登山 / 人物・団体 /

南アルプス「エコパーク」登録推薦へ 文科省が方針 9月末までに

 山梨、静岡、長野県の市町村が目指している南アルプスの「エコパーク」登録に向け、文部科学省は14日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に対し、9月末までに推薦する方針を明らかにした。来年5月にも登録の可否が決まる見通しで、登録されれば国内6カ所目となる。

 14日開かれた衆院農林水産委員会で、後藤斎衆院議員(民主党、山梨3区)の質問に、文部科学省の加藤重治国際統括官が明らかにした。加藤国際統括官は「農林水産省や環境省と連携し、9月末までのユネスコ事務局への推薦に向け、準備を進めている」と答弁。林芳正農水相も積極的に協力するとの考えを示した。

 南アルプスのエコパーク登録に向けては、南アルプス市や北杜市など山麓の10市町村が4月、申請書案を文科省に提出。キタダケソウやライチョウなど貴重な動植物が多く見られることを理由に挙げている。

 現在、ユネスコ国内委員会の分科会が申請書案を審査しており、9月末までにユネスコに推薦するかどうかを決定。分科会の決定を経て、文科省がユネスコに推薦。ユネスコの諮問機関の勧告を踏まえ、来年5月にパリで開かれる会合で登録するかが正式に決まる。

 ユネスコエコパークに登録されることで認知度が高まり、地域活性化につながることが期待されている。また、国内5カ所の登録地域のうち、屋久島(鹿児島県)はエコパーク登録後、世界自然遺産に登録されている。南アルプスの世界自然遺産登録を目指している南アルプス市のみどり自然課は、「手続きが順調に進んでいるのはありがたい。登録に向け、住民の機運を盛り上げたい」としている。

 ユネスコエコパーク 世界自然遺産が手つかずの自然の保護を原則としているのに対し、一定の経済活動や調査研究が認められている。1976年から登録が始まり、2012年7月現在、117カ国、610地域が指定されている。国内では志賀高原(群馬、長野県)、白山(富山、石川、福井、岐阜県)、大台ケ原・大峰山(三重、奈良県)、屋久島(鹿児島県)が認定。昨年には国内最大規模の照葉樹林で知られる宮崎県の綾地域が登録された。

 (山梨日日新聞 2013年5月15日付)

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