南ア・コストコ建設地 発掘の整理進む 信州、東海に多い土器確認

コストコ建設地から出土した土器の接合作業=南アルプス・ふるさと文化伝承館
文化交流の拠点裏付け
南アルプス市教委は、同市寺部の米国系会員制スーパー「コストコホールセール南アルプス倉庫店」建設地で行った発掘調査の整理作業を進めている。現在までに、市が中心となり調査した約1万5千平方メートルで確認された157軒の住居跡のうち、約110軒分の出土品の接合が終了。弥生時代後期の遺跡からは信州と東海地方に特徴的な土器が確認され、市ふるさと文化伝承館の中山誠二館長は「2千年前から文化の交流地点であり続けたことが裏付けられた」という。
市教委文化財課によると、発掘調査は2022年10月~23年9月に実施。約2千年前の弥生時代後期から近代までの遺物や遺構が確認されている。市教委はこれまで、土器などの出土品を洗い、出土地点などの情報を破片すべてに書き込む注記作業と、土器を復元させる接合作業を進めてきた。
約200年間続いた弥生時代後期(紀元後50~250年)の住居跡は少なくとも14軒確認され、信州で特徴的なくし状の工具で描いた波状の文様がある土器や、東海地方で目立つつぼの下が屈曲する形をした土器が出土した。
市教委は市ふるさと文化伝承館で3カ月に1回程度展示替えをしながら出土品を紹介するなど、調査結果を周知している。接合した土器の実測や復元などを進め、28年度に報告書をまとめる予定。
(山梨日日新聞 2025年8月30日掲載)