駒ケ岳通称からひもとく 甲斐(山梨)東(長野)の二つ、歴史を周知 エコパーク10年 2面看板新設へ
南アルプスユネスコエコパークの登録10年を機に、北杜市と長野県伊那市が南アルプスの駒ケ岳(標高2967メートル)の「甲斐駒ケ岳」など二つの通称を活用し、文化や歴史の周知に取り組む。今年は長野県側の開山200年にも当たることから、両市は28日、「甲斐駒ケ岳」と伊那市側の通称「東駒ケ岳」を併記した2面看板を設置する予定。看板では開山や山岳信仰の歴史などを紹介するという。両市の関係者は「登山者が山の歴史などへの理解を深める機会になれば」と期待している。
国土地理院の地図表記は「駒ケ岳」で、山梨県側では「甲斐駒ケ岳」と呼ばれ、地元住民に親しまれてきた。伊那市では西側に見える中央アルプスの木曽駒ケ岳を「西駒ケ岳」、東側に見える甲斐駒ケ岳を「東駒ケ岳」と呼んできた。
甲斐駒ケ岳は花こう岩質の白い山頂が特徴で、北杜市側の「黒戸尾根」ルートは「日本三大急登」と呼ばれ、難易度の高い山として登山愛好家らの間で知名度が高い。
白州町誌などによると、甲斐駒ケ岳は1816年に開山。山岳信仰の「駒ケ嶽講」が栄えたことにより石仏が乱立するなどして、北杜市側の登拝道「黒戸尾根表参道」が差し止められたのをきっかけに、1824年に長野県側の登拝道が開かれた。
今年は南アルプスユネスコエコパークの登録10年と長野県側の開山200年が重なったため、「通称を活用し、山岳信仰など甲斐駒ケ岳の文化や歴史を周知したい」(北杜市)と、2面看板の設置を計画。現在の看板表記は「甲斐駒ケ岳」のみだが、東駒ケ岳も併記した看板に新調する。看板には名称の由来や、開山の経緯、山岳信仰の歴史などをまとめた説明を付けるという。28日に北杜市の関係者と伊那市の白鳥孝市長が登山し、設置する予定。
(山梨日日新聞 2024年8月28日掲載)