南アルプスの魅力一冊に 動植物、集落の歴史、信仰登山… 世界遺産連絡協刊行 登録へ機運高める

 南アルプス世界自然遺産登録山梨県連絡協議会は、南アルプスの自然や歴史、民俗などをまとめた「南アルプス概論 山梨県版」を刊行した。地形や地質、貴重な動植物を紹介しているほか、登山の始まりや観光など山と人々とのかかわりを解説。南アルプスの魅力や文化を伝える一冊として活用していくほか、世界自然遺産への登録に向けた機運づくりにもつなげていく。

 概論はカラー印刷でA4判115ページ。各分野の専門家で構成する同協議会学術調査委員会(委員長・花岡利幸山梨大名誉教授)のメンバーが、調査や文献に基づいて作成した。概要、生い立ち、気象、植物など7項目に大別し、それぞれの歴史や現状などを解説した。

 「南アルプスの生い立ち」では、日本列島の形成とともに、太平洋プレートなどの動きが南アルプス地域に大きな影響を与えたことを説明している。100万年ほど前から地層が急激に上昇。年間3、4ミリの上昇は世界でもトップクラスのスピードだったとしている。

 「南アルプスの気象」では、高山地帯で温暖化が与える動植物への影響を指摘。北岳山荘での観測から気温が上昇傾向にあると推測していて、ニホンジカやサルの高地進出、ライチョウの生息環境悪化といった悪影響を懸念している。

 また、キタダケソウやイヌワシといった貴重な動植物を写真とともに紹介。生態や現状、分布状況などを記載している。「南アルプスと人々のかかわり」では、ふもと集落の歴史や信仰登山などを説明している。

 南アルプス概論は、関係機関に配布するほか、各種視察や解説の場でも活用。今後、増刷して図書館などの公共施設に置き、住民にも幅広く閲覧してもらう。

【写真】南アルプスの自然や歴史をまとめた「南アルプス概論 山梨県版」

(2010年5月13日付 山梨日日新聞)
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