櫛形山のアヤメ 群落の防護ネット拡大 山梨県と南アルプス市が整備へ

 消滅の危機にひんしている櫛形山のアヤメ群落について県は新年度、南アルプス市と協働し、シカの食害を防ぐ防護ネットを設置する。群落保護をめぐっては、市がこれまでに独自にネットを設け、食害防止に効果があることが確認されている。県などはこれまでで最も広い面積を保護するネットを設置し、本格的な保全対策につなげる考え。

 県みどり自然課によると、ネットは山頂北側の裸山の群落約3600平方メートルにわたって設置する。設置費用約120万円のうち、半額を県が市に補助する。これまでに市はアヤメ平に4カ所、裸山に2カ所ネットを設置しているが、大きさは25~625平方メートルで、今回設置するネットは最大規模になる。

 アヤメ群落の減少は当初、「気温の上昇」や「ほかの植物による生育阻害」「シカによる食害」など、いくつかの見解が指摘され、具体的な原因究明が保全に向けた課題となっていた。

 このため、市は2007年に専門家でつくる櫛形山アヤメ保全対策調査検討会を立ち上げ、順次ネットを設置したり、植生を調べるなど、原因解明に着手。昨年6月の同検討会の調査で、ネットの内側の方が、外側よりも株数が多く、芽の生育状況も良好であることが確認された。シカの侵入を防いだことが奏功したとみられている。

 同課は「市の調査で減少理由はシカの食害である可能性が高まった。範囲を拡大して、一体的な保護を図る段階に入った」と判断。市にネットの設置費を補助することを決めた。今後市などが具体的な設置時期などを検討する。

 櫛形山にはかつて3000万本のアヤメがあったとされる。しかし、1981年に巨摩高自然科学部の調査で減少が指摘され、2007年から急激に減ったことが確認されている。

【写真】南アルプス市が設置した防護ネット内でアヤメの植生状況を調べる関係者=南アルプス・櫛形山

(2010年3月4日付 山梨日日新聞)
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