南アルプス長野側をジオパーク認定山梨側も早期申請めざす推進部会、県内の地質遺産をPR

 日本ジオパーク委員会(茨城県つくば市、尾池和夫委員長)は13日までに、貴重で特徴的な地質遺産を含んだ国内の自然公園として、山梨、長野、静岡3県にまたがる南アルプスの長野県側を「南アルプスジオパーク(中央構造線エリア)」として認定した。山梨県内4市町でつくる南アルプス世界自然遺産登録県連絡協議会は、山梨県側の早期エリア認定に向け、地質・地形の調査研究を行っていく考えで、来年度以降の申請を目指している。

 ジオパークは、地質遺産の保護とともに、ジオツーリズムによる科学・環境教育の推進、新たな観光資源として活用するのが狙い。ユネスコが支援して2004年に設立された世界ジオパークネットワークによる世界ジオパークとは別に、同委員会が本年度から独自に日本ジオパークとして認定している。

 今回の認定エリアは飯田、伊那、富士見、大鹿の4市町村。3県でつくる南アルプス世界自然遺産登録推進協議会のジオパーク推進部会(事務局・長野県伊那市)で協議し、エリア内の地質研究や学習基盤が先行している長野エリアをまず8月に申請し、今月8日に認められた。

 一方、山梨県連絡協によると、県内には国の天然記念物「新倉の断層露頭」(早川町)や約700万年前の貝殻化石を含んだ巨大な岩「小原島の貝殻化石」(身延町)、南アルプス市芦安山岳館(南アルプス市)といった地質遺産や文化学習拠点がある。

 県連絡協は「学術調査委員会と連携し、ジオパークとして認められる県内の貴重で特徴的な地質遺産などをできるだけ早い時期にまとめたい」としている。推進部会は「南アルプス一帯でのジオパーク認定を目指しており、山梨、静岡両県で内容がまとまり次第申請し、最終目標の世界自然遺産登録への足掛かりとしたい」としている。

(2008年12月14日付 山梨日日新聞)

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