トロッコ軌道再現 林業の歴史伝える 南アルプス市芦安山岳館で公開

 南アルプス市は、太平洋戦争前後に旧芦安村-早川町間で使われていたトロッコ軌道の一部を、同市の南アルプス市芦安山岳館に移設。地域の林業の歴史を知る貴重な遺産として公開している。

 移設したのは「早川森林軌道」のトロッコ軌道4.8メートル。3月中旬に搬入し、当時の車輪やブレーキなどの部品をそのまま生かした台車に丸太を乗せ、当時の様子を再現している。

 軌道は木材需要の拡大に伴い1942年に敷設。総延長は芦安村深沢から早川町の奈良田、西山温泉を経由し早川橋付近に至る約54キロ。累計で約1万立方メートルの木材を搬送し、湯治客も運んだ。自動車道への改修に伴い、50年代に使われなくなった。

 88年には南アルプス林道愛護会などが軌道トンネル跡を活用して今回移設されたレールと台車を展示。近年はトンネルの老朽化により、安全に見ることができなくなっていた。

 市は6月から、南アルプス林業の歴史紹介や森の恵みをテーマとした企画展を同館で開く予定。トロッコ軌道はメーンの展示物として注目されそうだ。

【写真】台車に丸太を乗せて展示しているトロッコ軌道=南アルプス市芦安山岳館

(2006年4月13日付 山梨日日新聞)

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