子どもと戦争資料でたどる ふるさと文化伝承館 慰問はがきや日誌展示

市内の学校に保管されていた国策紙芝居=南アルプス・ふるさと文化伝承館

豊国民学校の子どもたちが満州の部隊に送った慰問はがき。文面から戦時下の子どもたちの生活や意識が垣間見える=南アルプス・ふるさと文化伝承館

 南アルプス市教委は、同市野牛島の市ふるさと文化伝承館で「ぼこんとうとせんそう(子どもたちと戦争)」をテーマにした展示を始めた。日本が日清、日露、アジア太平洋戦争へ進む中、約150点の玩具や紙芝居教材などの資料を通じて、戦時色が濃くなる子どもたちの暮らしをたどっている。

 1月から開かれている「にしごおりのぼこんとう」展の後期展示に当たる。
 新たに展示されたのは、1944年9月に豊国民学校の子どもたちが満州の部隊に所属する卒業生に送った慰問はがきや、大明、鏡中條、飯野などの各尋常小学校・国民学校の学級日誌など。国民学校で書かれたとみられるはがきには、丁寧な筆致で「軍事工場の人たちは飛行機を一機でも多く一生懸命働いていますからどうか安心してください」「鬼畜米英打倒の日まで大いに頑張りませう」などの記述が確認できる。
 市が収蔵する6点の国策紙芝居も展示。若草地区にあった三恵小の郷土資料室に残されていたもので、アッツ島の戦いを扱った「玉砕軍神部隊」など、戦意を高揚するプロパガンダとして利用されたことがうかがえる。軍隊の階級や兵種などの駒で遊ぶ行軍将棋も並ぶ。
 37年3月に文部省が発行した「国体の本義」も展示。
 展示は8月27日まで。入館無料。

(山梨日日新聞 2025年6月13日掲載)

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