南ア林道 2年ぶり、通行再開へ 管理協が現地視察 安全確保が条件

 南アルプス林道の通行再開時期を協議する南アルプス林道通行管理協議会(会長・村上幸利山梨大大学院教授)は26日、南アルプス市で第2回協議会を開き、「安全が確保できた段階で通行止めを解除すべきだ」と意見集約した。6月25日に開く次回協議会で具体的な期日や通行規制について協議し、県に提言する方針。県の安全対策工事が天候などの影響を受けずに順調に進んだ場合、早ければ7月中旬-下旬にもおおむね完了する見通しで、今夏、2シーズンぶりに通行再開となる可能性が高まった。

 この日は学識経験者や地元の観光関係者ら委員七人が、夜叉神トンネル-広河原間で行っている安全対策工事の現場を視察。数カ所を回り、浮き石除去や岩盤の接着など、各個所の被災状況や工法について説明を受けた。

 視察後、同市芦安交流促進センターで開いた協議会で通行再開時期について意見交換し、「安全対策工事がおおむね完了し、安全を確保できた段階」とすることで一致した。通行止めを解除する日時や時間規制・車両規制の実施については、次回協議会で検討することになった。

 県によると、工事期間は9月16日までになっているが、順調に進めば7月中旬から下旬に終わる見通し。ただ、これから梅雨の季節となることから、天候によっては8月以降にずれ込む可能性もある。

 同林道では2002年10月から4回の崩落があり、これまで1年半以上にわたって全面通行止めが続いている。崩落現場の復旧とともに、県の安全点検で「早急な対策が必要」とされた27カ所の安全対策工事も行っている。

 同協議会は、工事中の通行の可能性や通行規制について県に提言することを目的に発足。県は同協議会の提言をもとに、通行止めの解除などを決める。

 視察後、村上会長は「安全の確保が最優先されるが、安全性が保障されるのならば、全面的な規制解除は難しくても地元の要望にも沿えるように検討を進めたい」と話した。

【写真】南アルプス林道の工事現場を視察する委員ら=南アルプス市

(2004年5月27日付 山梨日日新聞)

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