ニホンジカによる食害深刻 県、実態調査に 北岳

 南アルプスの北岳周辺でニホンジカによる高山植物の食害が深刻化している問題で県などは14日、実態を具体的に把握するための調査に着手した。

 北岳で食害状況などを本格的に調査するのは初めて。県みどり自然課や県森林総合研究所が中心となり、北岳や農鳥岳などで5日間かけ実施。標高約2200メートルの白根御池小屋から山頂に向けて30-50カ所に、縦1メートル、横2メートルの調査地点を設け、生息する植物や食害の状況などを調べる。

 初日は県の担当者ら3人が、登山道脇の植物の食害状況や動物の足跡などを確認しながら標高約2300メートル付近の二俣周辺まで登り、登山道脇や草地の計11カ所にくいを打つなどして調査地点を設営。範囲内に生息する植物の種類や株数、大きさを調べた。今後、同所で定点調査を続ける。

 県は「近年、高山帯でのシカの目撃情報や食害被害の報告が増加していて、今回の調査で具体的なデータを収集したい」としている。

 県などはこのほか、3頭のシカに衛星利用測位システム(GPS)を取り付けて行動を把握する調査を、8月以降に予定している。


【写真】北岳の二俣周辺に調査地点を設ける県の担当者=南アルプス・北岳

(2008年7月15日付 山梨日日新聞)

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