2016.3.25 News /

雪山登山、防寒対策しっかり サングラス必須/スノーシューは内股で

 登山ブームが続く中、雪山登山が注目を集めている。真っ白な雪景色やスノーシューを使っての歩行など夏山と違った魅力のある雪山だが、危険は多い。事故を防ぐため、装備や歩行技術の基本をしっかり押さえ、細心の注意を払い臨む必要がある。下界は春めいてきたが、雪山シーズンはまだしばらく続く。南アルプス市の櫛形山で行われた「基礎から始める雪山ツアー」(市地域雇用創造協議会、県民の森・森林科学館主催)に参加し、ポイントを聞いた。

 【写真】基本を押さえて安全に楽しみたい積雪期の登山=南アルプス・櫛形山

 指導してくれたのは、南アルプスガイドクラブの岩間修さんと井上佳之さん。まずは登るための装備を確認する。

 晴れた日は照り返しが厳しいため、サングラスは必須。3~5月は紫外線が強くなり、曇りでも掛けた方がいい。登山靴やオーバージャケット、パンツは防水性のある物を選ぶ。時期や場所によりフリースなど体温調整しやすいウエアを重ね着する。汗をかいた後に冷えないよう、アンダーウエアは綿より化繊やウールがお薦め。

 【写真】今回の雪山登山に使用した道具。左上から時計回りに軽アイゼン、スノーシュー、ストック

 手袋は薄手と防水性の2種類を用意。ニット帽や、雪が入らないよう膝元から足首を覆うスパッツもあるといい。山の状況により凍った登山道を歩くためのアイゼンと、積もった雪の上を歩く時に装着するスノーシューも準備しよう。

◎常に周囲確認

 体操をして出発。バランスを取るため手に持つストックは、長さを調節できる登山用がいい。登る時は腰より少し上の長さで、体の横ぐらいの位置に突きながら歩く。反対に下りでは少し長めにし、体より前の位置に突くと歩きやすい。

 歩く時は自分の靴の長さほどの歩幅で。初心者は、前を歩く人が踏み固めた跡(トレース)を歩くと楽だが、ない所では上りはつま先を、下りではかかとを蹴り込みながら歩く「キックステップ」を使う。足元ばかり見て歩くと道に迷うので、常に周囲を確認しながら歩くことが大切だ。

 今回のツアーでは、平たんな林道を歩く際にスノーシューを装着。ベルトで正しく足に固定し、履いたスノーシューを踏まないように内股で歩く。つまずかないようにつま先を持ち上げ、すり足で進むイメージだ。底に刃が付いているため、バックがしにくいので注意。スキーと同様、キックターンで方向転換する。

 下り道では軽アイゼンを使った。左右を確認し、靴の金具の部分を避けながらベルトで固定する。きつく締めすぎると足が痛くなるので注意が必要。アイゼンの刃を全て効かせるため、靴底をフルフラット(斜面の傾斜に合わせて靴底をぴったり付ける)にして歩く。足は肩幅ぐらいに開き、刃を引っ掛けてしまわないように一歩一歩、しっかり持ち上げながら歩こう。

 【写真】軽アイゼンは左右を確認し、靴底に正しく装着する

◎事前に情報収集

 気候にもよるが、例年櫛形山は3月半ばぐらいまで、南アルプスの山では5月初旬ぐらいまで雪山登山が楽しめるという。登りたい山の状況について事前に情報を収集し、必要な装備を準備しよう。

 今回登った櫛形山はそれほど危険な箇所がなく、天候に恵まれて初心者でも雪山登山を楽しめた。だが、井上さんは「アイゼンでの歩行は、慣れないと引っ掛けて転倒する恐れがある。けがをしてしまった時のためにも、最初は携帯電話が使える山を選び登るといい」とアドバイス。岩間さんは「山の天気は早めに崩れるので、常に注意して慎重に登ることが大切。特に風がある日は低体温症になる危険性が高まるので、この時季でも防寒対策は念入りに」と話している。

 (山梨日日新聞 2016年3月4日付)

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