2015.6.24 News /

住民主体で地域振興を 横浜国大環境情報研究院 若松伸彦さん

 エコパークに詳しい横浜国立大環境情報研究院の若松伸彦さん(37)に、南アルプスの現状や今後の課題を聞いた。

 -エコパークの認知度が地元で低いという声があるが。

 「日本では、国外に比べてエコパークの認知度が低い。国内のほかの登録地域でも、エコパークを知っている人は少ない。南アルプスについては、国内の他地域より認知度は高いのではないか。エコパークになったことだけでなく、南アルプスの自然、環境について知ってもらうことが大事だ」

 -南アルプスを構成する山梨、長野、静岡の3県の10市町村の連携についての評価や今後必要なことは。

 「月1回、10市町村の担当者が集まっている点などは評価できるが、さらに改善の余地はある。エコパーク登録は(環境保全など)南アルプスの課題を解決するツールだ。エコパークになったことをきっかけに、これまでは、ばらばらにやっていた対策を協力して進めていけるはず。自治体という枠組みにとらわれすぎてはいけない」

 -南アルプスの麓で暮らす住民にとって必要なことは。

 「南アルプスのことを知り、価値を再認識することが必要。エコパークになったことだけで、外から人が集まることはない。しかし、地元の人がそのことを生かした地域振興を進めれば、来訪者を増やすチャンスはある。行政ではなく、住民が主体的に動くことが大切」

 -山梨県内の南アルプス構成地域での課題は。

 「自然について知ることができる自然博物館のような場所がない。住民が南アルプスの植物について聞こうと思ったときに、どこに行けばいいのか分からないのが現状。長野や静岡に比べて遅れている点だと思う」〈聞き手・横内史貴〉

 (山梨日日新聞 2015年6月24日付)

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