2015.4.30 News /

登山には計画書を GW、県警呼び掛け強化 春山シーズン、万が一に備え

 ゴールデンウイーク(GW)に入り、増加が見込まれる登山者に対し、県警が登山計画書の提出を促す活動を強化している。昨年9月の御嶽山(長野、岐阜県)噴火で、登山者の把握に向け、計画書の重要性があらためて指摘されたことなどが背景。県警によると、昨年1年間で発生した山岳遭難のうち、計画書が提出されていたのは4分の1程度にとどまっており、29日は県内各地の登山道入り口で警察官らが登山者に計画書の提出を求めた。

 「登山計画書を提出していない方はこちらで記入をお願いします」。29日午前、丹波山村の雲取山(2017メートル)登山口の入口近くにある鴨沢バス停。上野原署員はバスから降りた登山者に大きな声で呼び掛けた。

 同署管内で昨年発生した12件の山岳遭難は、いずれも計画書が提出されていなかった。昨年のGW期間中、登山で丹波山村内を訪れたとみられる県外の男性2人はいまだ発見されておらず、10月には登山中の事故で2人が亡くなった。同署地域課の三枝亨係長は街頭活動について「万が一のとき、登山計画書があれば捜索しやすい。危機感を持ってやっている」と話す。

 この日はインターネットで登山計画書などを提出することができるウェブサイト「山と自然ネットワーク『コンパス』」も紹介。雲取山を訪れた東京都江戸川区の公務員高見章代さん(44)は「宿泊などを伴う登山は計画書を出すが、今日は日帰りだったので出していなかった。今後はコンパスを使って提出したい」と話した。

 一方、昨年6月に生物圏保存地域「エコパーク」に登録された後、初のGWを迎えた南アルプス。夜叉神峠登山口(南アルプス市芦安芦倉)では、南アルプス署員が登山者に計画書の提出を求めた。同署の秋山敦副署長は「エコパーク登録で、外国人や経験の浅い登山者の増加が想定される。登山計画書提出の街頭指導を強化するなどして遭難防止を徹底したい」と話す。

 このほか同日山開きを迎えた山梨市の西沢渓谷でも日下部署員が街頭指導をした。

 県警地域課によると、県内では昨年1年間に110件の山岳遭難が発生し、遭難者数は127人。遭難者数は1965年の統計開始以来、最多となった。110件の遭難のうち、登山計画書が提出されていたのは28件で、提出率は25.5%にとどまっている。

 県警地域課の小宮寿次席は「GWの時期は麓は春でも、標高の高い山はまだ冬。雪が残っていなくても、雪解けで足元が滑りやすくなっており、滑落の危険は高まる。山の高低にかかわらず、登山計画書を提出し、事故のない登山に努めてほしい」と話している。

 【写真】登山者に登山ルートを尋ね、登山届の提出を呼び掛ける上野原署員=丹波山村内

 (山梨日日新聞 2015年4月30日付)

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