2015.3.26 News /

櫛形山散策路周辺の植物数減少 「踏みつぶし、食害原因」 南アルプス市・高校生が確認

 南アルプス市の白根高自然科学部と巨摩高生物地学部の生徒は、櫛形山トレッキングコース周辺でコース開設に伴う自然環境への影響を調べ、植物の個体数が減少している状況を確認した。県のレッドデータで近い将来に野生での絶滅の危険性が高いとしている「絶滅危惧1B類」に該当するスルガヒョウタンボクなどが減少したという。生徒は、開設の影響で登山者が増え、植物を踏みつぶしたり、森林伐採で増加したシカの食害が原因とみている。

 櫛形山トレッキングコースは市が整備し、2013年7月に完成。コースは5・5キロで富士川町の池の茶屋登山口と同市のアヤメ平を結ぶ。調査は市が両校に依頼。生徒は完成直後の13年夏と、1年が経過した14年夏に植物の生育状況を調査。白根高はスルガヒョウタンボク、巨摩高はマンネンスギとカニコウモリについて調べた。

 白根高はスルガヒョウタンボク30個体の葉の状態を観察。一部の個体しか葉がついていないことを確認した。虫食いの跡や病変している部分は確認されなかったことから、森林が伐採され、シカが通りやすくなり餌場として使用して摂食が進んだことが原因として考えられるという。

 巨摩高は個体数を調査するため北岳展望台付近のコース沿いに、密度などを調べる「コドラート」(囲い)を設置し、個体数を経年比較した。その結果、カニコウモリは19%、マンネンスギは17%減少。カニコウモリはシカの食害、マンネンスギは人によって植物が踏み固められる「踏圧」の影響で減少したことが考えられるという調査結果をまとめた。

 両校の生徒は新年度も調査を続ける。柵を設置するなど、市と連携し自然環境の保全に向けた取り組みを進めるという。

 両校の生徒は25日、市役所で、結果を市職員や市議らに報告した。市みどり自然課は「調査結果を受け止め、今後も協力し自然環境保全に取り組んでいく」としている。

 【写真】櫛形山トレッキングコース周辺の植物の状況について発表する巨摩高の生徒=南アルプス市役所

 (山梨日日新聞 2015年3月26日付)

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