2015.2.05 News /

南アルプス落選「普遍的重要性が不足」 世界自然遺産 環境省が候補選考

 環境省は4日、世界自然遺産の新たな候補地を選ぶため、国内5地域で実施した調査の報告書を公表した。昨年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」に登録された南アルプス(山梨、長野、静岡)は「世界遺産としての可能性は認められなかった」とし、選考対象から除く方向性を打ち出した。ユネスコが世界遺産の条件として求める「普遍的重要性」について足りないと、同省が判断した。

 報告書は、環境省の委託を受けた研究機関が作成。昨年9月に現地を調査したドイツ人専門家の見解を柱に、5地域の評価をまとめた。

 環境省によると、報告書では、南アルプスについて「珍しい地形をしているが、世界的基準からみて並外れていることを裏付けることができなかった」と明記。観察できる特性や価値が、専門家でない人々にとっても印象的で理解しやすく、明白なものではならなければならないという世界遺産条約における「普遍的重要性」が認められなかったとしている。

 南アルプス市の中込博文市長は「選考から外れたことは非常に残念。何とかもう一度世界自然遺産の選考対象となるよう、南アルプス世界自然遺産登録推進協議会で話し合いたい」とした。早川町の辻一幸町長は「富士山についても苦労した経緯がある。すぐには難しいと思うが、諦めることはない」と話した。

 報告書では、ブナの自然林を特徴とする飯豊・朝日連峰(山形、福島、新潟)と奥利根・奥只見・奥日光(福島、栃木、群馬、新潟)については、登録済みの白神山地(青森、秋田)と一連の遺産として推薦できるかを探るため、継続調査を進めるとした。阿寒・屈斜路・摩周(北海道)と日高山脈(同)は南アルプスと同様、候補地から除く方針。

 (山梨日日新聞 2015年2月5日付)

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