県、希少動植物22種を指定へ 保護策強化

 条例に基づき重点的に保護すべき希少動植物の指定作業を進めている山梨県は25日、捕獲・採取などを規制する動植物種としてキタダケソウやアツモリソウ、ライチョウなど22種を候補に決めた。2月の県環境保全審議会を経て正式指定し、条例に定めたモニタリング調査、生息地保護区指定、採取規制などの保護策を講じる。

 指定は希少野生動植物の保護に関する県条例に基づく作業で、各分野の専門家らでつくる検討委(委員長・中村司山梨大名誉教授)が、絶滅の恐れがあり、特段の保護が必要と判断した種を絞り込み、同日開かれた会合で承認した。

 22種の内訳は高山植物18、湿性植物など3、鳥類1で、いずれも県のレッドデータブックに掲載されている。このうち市場に流通する恐れがある高山植物18種は、譲渡行為を監視する「特定希少野生動植物種」とし、繁殖個体を扱う業者に届け出などを求める。

 指定種は県知事が委嘱した希少野生動植物種保護専門員が啓発活動や巡視、モニタリング調査などの保護活動を行う。指定希少野生動植物種の捕獲や採取、殺傷などを原則禁止し、違反者には県条例で懲役1年以下または罰金50万円の罰則規定を設けている。

 この日の会合では検討委が昨年、生息地保護区の指定候補地として、櫛形山(南アルプス市)と三ツ峠(都留市、富士河口湖町、西桂町)で実施した現地調査の結果も報告した。アツモリソウ、ホテイアツモリなどの生息を確認したが、地元関係者の合意形成が得られていないとして現時点での保護区指定は見送った。


重点的な保護策を講じる希少動植物種の最終候補

◆高山植物(18種)
キタダケソウ、キタダケキンポウゲ、キタダケトリカブト、ヒイラギデンダ(クモイカグマ)、キタダケデンダ、キバナノアツモリソウ、カモメラン、ホテイアツモリ、アツモリソウ、ニョホウチドリ、ホテイラン、タカネビランジ、タカネマンテマ、ホウオウシャジン、ユキワリソウ、クモイコザクラ、ハコネコメツツジ、ムシトリスミレ

◆湿性植物など(3種)
ヒメマツカサススキ、ヒツジグサ、カリガネソウ

◆鳥 類(1種)
ライチョウ
(上記は指定希少野生動植物種。また「高山植物」は特定希少野生動植物種にも指定)

(2008年1月26日付 山梨日日新聞)

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