2004.8.23 News / その他 /

山岳事故 南ア林道再開で急増 1カ月で8件、12人負傷

 南アルプス林道の通行再開で2シーズンぶりに登山者でにぎわう南アルプス市の北岳などで、山の事故が増えている。通行再開からの約1カ月で8件を数え、6月の1件と合わせ、早くも昨年1年間の件数(9件)に並んだ。

 同署によると林道開通(7月17日)以降の事故8件の発生場所は北岳が7件、夜叉神峠が1件。負傷者は計12人で、下山中の転倒や北岳のバットレスでの転落が目立つ。

 8月7日には、バットレスにいた4人のパーティーが、雷雨による落石の直撃を受けて重軽傷を負い、翌8日に県防災ヘリ「あかふじ」に救助された。

 リーダーは岐阜県内のプロの山岳ガイド(53)だったが、関係者は「天候の変化を予測していれば防げた事故」と指摘する。さらに、パーティーが事故に遭った現場は、登山計画書に記載された地点と違っていたため発見が遅れ、救助は翌朝にずれ込んだ。

 山岳遭難の救助には山小屋関係者や南アルプス署員、県と県警のヘリコプターが当たる。遭難場所を探すときや、ヘリの運航が困難なときには10人近くが救助に向かう。

 負傷の原因は本人の不注意がほとんどという。中には「足がつってしまい歩けなくなった」と、ヘリの救助要請をしてきた例もあり、同署地域課の内藤智課長は「十分な技術を身に付け、体調、装備、計画を整えてほしい」と呼び掛ける。

 広河原山荘管理人で南アルプスに詳しい塩沢久仙さんは「山は自己責任の世界。最近は高齢者の夫婦やツアー登山客が増えているが、事前にトレーニングを積んでおくことは当然。気象の知識も必要だ」と話している。

(2004年8月21日付 山梨日日新聞)

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