2016.6.18 News /

NPOが甘利山のシカ数調査 希少植物の食害が深刻化 柵設置や駆除に生かす

 甘利山の自然保護に取り組むNPO法人甘利山倶楽部(清水一理事長)は5月から、甘利山に生息するニホンジカの数や活動範囲の調査を始めた。シカによる希少植物の食害が深刻化しているためで、調査で把握したデータは柵の設置や駆除などの対策に生かす。

 甘利山は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」に登録された南アルプスの一部で、レンゲツツジの群生地として知られ、「県レッドデータブック」に記載されている希少植物「ヒメイズイ」「オオヤマサギソウ」なども見ることができる。

 食害は8年ほど前から目立つようになり、レンゲツツジの新芽が食べられて花が咲かなくなったり、ヒメイズイやオオヤマサギソウの自生地が荒らされたり被害が続いている。これまで防護柵を設置し、わなを仕掛けてシカを駆除してきた。

 さらに今年は、カラマツの皮が食べられる被害も発生。同NPOでは年々生息数が増えているためさまざまな品種に食害が広がっているとみて、シカの生息数についての調査を始めることにした。

 調査は一定のエリアでシカのふんを1カ月に1回数える「糞粒法」で行っている。管理棟近くの駐車場付近、山頂付近に1メートル四方の調査場所を計40カ所設定。本年度は5月1日から12月1日までを調査期間としている。

 6月1日の調査では、山頂付近の調査場所1カ所で62個のふんが見つかった。ほかの調査場所からは見つからなかった。「1カ月間ではまだ生息数の予測はできないが、山頂付近にもシカが現れることが分かった」(担当者)という。

 結果は来年3月ごろまでにまとめる。同NPOの担当者は「シカの増加が自然のバランスを崩している。生息数や頻繁に出現する場所をしっかりと把握し対策を取りたい」と話している。

 【写真】シカのふんの数を調べるNPO法人甘利山倶楽部のメンバー=甘利山

 (山梨日日新聞 2016年6月18日付)

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