2015.9.22 News /

鍛冶職人山内東一郎作 名工のピッケル寄贈 芦安山岳館に甲府の男性

 ピッケル作りの名工といわれた鍛冶職人山内東一郎さん(1890~1966年)の作品が、南アルプス市芦安芦倉の南アルプス芦安山岳館に寄贈された。全国で現存する山内さん作のピッケルは約700本とされ、所有者のほとんどが手放さないといわれる名品。同館は国内登山史の貴重な資料として、常設展示する考えだ。

 寄贈したのは甲府市高畑1丁目の今沢寛さん(81)。今沢さんは甲府一高の山岳部だった当時、父親が所属していた県内の山岳愛好家でつくる「南嶺会」の会員から譲り受け、自宅で保管していた。

 寄贈されたピッケルは、モリブデン鋼製で長さ82.5センチ。ブレード(刃)とシャフト(手に持つ部分)の接合部分には「山内東一郎作 一六八九」と名前と製品番号が刻印され、シャフトは木で覆われている。

 同館によると、山内さんは青森県出身で、世界で初めてニッケルクロム銅を使ってピッケルを作った。強く美しい形状のピッケルは「山内のピッケル」と呼ばれ、多くの登山家が高く評価した。受注生産で、生涯で手掛けたピッケルは約2000本。そのほとんどに製品番号が入っているという。

 18日に今沢さんが同館を訪れ、塩沢久仙館長に手渡した。塩沢館長は「山岳の世界では非常に有名なピッケルで、価値がある。寄贈してもらい本当にありがたい」と謝意を述べた。

 今沢さんは「もう使うことはなく、家の中に置いておくだけではもったいないので寄贈した。多くの人に見てもらえたらうれしい」と話している。

 【写真上】寄贈された山内東一郎さん製作のピッケル

 【写真下】ピッケルを手渡す今沢寛さん(左)=南アルプス市芦安芦倉

 (山梨日日新聞 2015年9月22日付)
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