2013.7.02 News /

高山植物 無断採取の疑い 男性書類送検へ 南アルプス 広河原周辺

 国立公園に指定されている南アルプス・広河原周辺の林道で、高山植物のミヤマハタザオとみられる植物を無許可で採取したとして、南アルプス署は1日までに、自然公園法違反(高山植物採取)の疑いで、県外に住む60代の男性を事情聴取した。容疑が固まり次第、書類送検する。ミヤマハタザオは希少種のチョウが卵を産み付けることで知られ、昨年も無断採取した入山者が摘発されるケースがあり、同署などがパトロールを強化していた。

 関係者によると、6月23日午後0時半すぎ、合同パトロール中の南アルプス署員と環境省職員が林道脇で植物を採取し、ビニール袋に入れていた男性を見つけた。男性が採取した植物はミヤマハタザオとみられ、同署が男性から事情を聞いている。

 ミヤマハタザオは、6月に白い花を咲かせるアブラナ科の高山植物で広河原周辺などに群生。希少種のクモマツマキチョウが卵を産み付けることで知られる。チョウは愛好家に人気が高く、高値で売買されることもあるという。

 昨年6月には東京都と神奈川県の男性2人がミヤマハタザオを無許可で採取したとして、同署が自然公園法違反容疑で2人を摘発。この事件を受け、同署や環境省などは今年から、広河原周辺で合同パトロールをして、警戒を強めている。

 ミヤマハタザオは山梨、長野両県で無断採取が禁止されている。しかしクモマツマキチョウは長野県では県の天然記念物として捕獲が禁止されている一方、山梨県では国立公園を除き捕獲を禁止する規定はない。地元関係者の一人は「山梨県側でチョウだけを採取する人も多くみられる。規制が厳しい長野側より、規制の少ない山梨側が狙われている可能性が高く、山梨側でも早急に対策を講じる必要がある」と話している。

 (山梨日日新聞 2013年7月2日付)

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