2008.2.08 News / 登山 / 山小屋 /

県、山小屋トイレの環境配慮型改修に補助金 民間小規模施設も対象に 最大500万円

 山梨県内にある山小屋のトイレのうち、「垂れ流し」状態になっている地下浸透式トイレの環境配慮型への改修を進めるため、県は来年度から、民間の小規模施設の改修に最大500万円を補助する方針を固めた。

 県観光資源課によると、総額8000万円の枠がある観光施設整備の補助金制度を活用する。同制度はこれまで民間を対象としていなかったが、山小屋のトイレは不特定多数の登山者によって公共的に使われていることから、要綱の改正などで対象に加える。

 補助の対象は、スギのチップなどで、し尿を分解するバイオ式やバーナーで燃やす焼却式、し尿をふもとに下ろすくみ取り式などの環境配慮型トイレに改修する1000万円未満の工事。補助額は最大で事業費の50%、約500万円まで。1000万円以上の改修は国の補助対象。富士山の山梨側18カ所のトイレは2006年度までにすべてが環境配慮型に改修された。

 県内には南アルプスを中心に民間の山小屋が多く、地下浸透式のトイレは約20カ所ある。年間約3万人の登山者が訪れる国内第2の高峰・北岳(3、193メートル)にも複数の地下浸透式トイレがあるという。

 標高の高い山地での改修は費用がかさみ、所有者らの負担も大きい。市町村にも同様の補助制度の整備を求めて資金面で支援する体制を整え、山小屋経営者に改修を促していく。

 山小屋のトイレをめぐっては03年、し尿処理対策の不備などを理由に富士山の世界自然遺産の候補入りが見送られた経緯がある。南アルプスの世界自然遺産登録に向けた動きを地元自治体などが活発化させる中、今後トイレ問題がクローズアップされることも予想される。

(2008年2月8日付 山梨日日新聞)

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