2016.11.24 News /

ライチョウの天敵捕獲へ 北岳 テン、キツネの捕食実態は 来年度、環境省が被害調査

 環境省は2017年度、南アルプス・北岳に生息する国の特別天然記念物のニホンライチョウを保護するため、天敵とされるテンやキツネを捕獲する方針を固めた。胃の内容物を調べて、ライチョウが実際に捕食されているかを確認。ライチョウの生息数の減少と捕食の因果関係を明らかにする。

 同省によると、ライチョウの保護ケージ付近に、天敵を捕獲する箱わなを試験的に設置する。テンやキツネなど小型ほ乳類を想定。捕獲した動物の胃の中にライチョウの羽毛が含まれていないか調べる。

 天敵の捕獲は、有識者でつくる環境省の「ライチョウ保護増殖検討会」を来年1月に東京都内で開き、正式に決定する。

 同省は昨年から、生後間もないライチョウの群れを約3週間にわたって保護する活動を開始。日中は人が群れに付き添い、夜間はシートで覆ったケージに収容している。外敵による捕食や、体温調整がうまくできないヒナが衰弱死するのを防いでいる。

 今年は7月20日に保護を終えて15羽のヒナを放したが、約2カ月後の調査時に確認できたのは2羽だけだった。保護中には、自動撮影カメラでケージ外からライチョウを狙うテンの姿を確認している。「放鳥後、テンやキツネなどに捕食された可能性がある」(同省職員)という。

 同省南アルプス自然保護官事務所の仁田晃司自然保護官は「北岳全体の生態系に悪影響を及ぼさないよう注意しながら、ライチョウが生息数を伸ばせるよう活動したい」と話している。

 【写真】北岳でヒナを守るライチョウ=南アルプス市内(南アルプス市ユネスコエコパーク推進室提供)

 (山梨日日新聞 2016年11月24日付)

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