2014.10.12 News /

登山計画書で万一に備え 御嶽山噴火で意識高まる 県警啓発 県内山域も提出急増

 多くの登山者が犠牲となった御嶽山の噴火を受け、登山計画書の重要性があらためてクローズアップされている。3連休初日の11日、山梨県内の登山口などでは計画書を提出する登山者が目立ち、「万が一の事態が起きた場合、早期に救助してもらうためには欠かせない」と、必要性を認識する声が相次いだ。県内10署は同日、登山道入り口などで計画書の提出などを促す啓発活動を実施。これまでの週末を大幅に上回る計画書が提出された山域もあり、「安全登山」に対する意識の高まりをうかがわせた。

 山梨市の西沢渓谷。東京都八王子市の主婦蝦名美知子さん(58)は同日午前9時ごろ、登山口で計画書を提出し、初心者向けの日帰りコースとして人気のある同渓谷の周回ルート(約10キロ)に向かった。「これまで計画書を出す目安は標高2千メートル以上だった」と蝦名さん。「御嶽山の噴火のように想定外のことも起こり得る。今後は標高の低い山でも、日帰りでも必ず提出するようにしたい」と話した。

 日下部署は同日午前、西沢渓谷の登山口で登山計画書の提出を呼び掛け、装備品をチェック。同署によると、多くの登山者が呼び掛けに応じ、この日提出された計画書は62件。同署の担当者は「呼び掛けをした効果もあるが、御嶽山が噴火する前の週末を大きく上回る数字」という。

 北杜市の甲斐駒ケ岳の登山口でも、登山計画書を記入する登山者の姿が目立った。御嶽山の登山経験があるという東京都立川市の会社員宗友良夫さん(55)は「御嶽山は気軽に登れる山だと思っていたので、そのときは提出しなかった。手間は掛かるが、提出を心掛けたい」と話した。

 南アルプスの玄関口に位置する夜叉神峠(南アルプス市)では同日午前8時半までに、登山口の回収箱に33件の登山計画書が提出された。鳳凰三山に向かった横浜市の会社員本田昇さん(36)は「遭難した場合に備え、計画書は提出するようにしている。御嶽山の噴火があり、あらためて計画書の大切さを感じた」と話した。

 県警地域課によると、昨年に県内で起きた山岳遭難事故は113件あり、このうち登山計画書が提出されていたのは19件(16.8%)にとどまった。登山ルートが分からず捜索が長期化したケースもあり、同課は「登山計画書の提出は安全な登山計画を練ることにつながり、有事の際は救助できる可能性が高まる。必ず提出するよう心掛けてほしい」としている。

 (山梨日日新聞 2014年10月12日付)

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