高山植物保全へ柵設置 南ア山岳交通協  余剰協力金を活用

 南アルプス山岳交通適正化協議会は10日、南アルプスの登山口に向かう林道や県道で集めた協力金を使い、絶滅危惧種のキタダケソウなど高山植物の保全事業を行うことを決めた。2008年度に導入した協力金はこれまでゲート管理費などに充てていたが、収益が見込みを上回り、約1千万円の余剰金が生じたため、本格的な環境保全策を行うことにした。

 保全事業では、北岳山頂の南側斜面の登山道で、柵の設置や土留め工事を行う予定。登山者が登山道から外れることや土の流出を防ぐことで、登山道周辺に見られる絶滅危惧種のキタダケソウやアカイシリンドウなどの群生地を守るという。工事は年内に着手する。

 協力金は、登山口の広河原に通じる南アルプス林道と県道南アルプス公園線で実施するマイカー規制期間中に徴収。バスと乗り合いタクシー利用者が任意で片道100円を支払う仕組みで、これまでは収益をゲート管理費やトイレ設置費などに充ててきた。

 同協議会によると、08~12年度の延べ通行者数は11年度を除き6万人を超えたが、協力金の支払いにはほぼ全員が応じた。特に12年度は過去最多の7万5059人(協力率99.97%)が支払い、収入は約750万円に上った。協力金収入の見込みは毎年575万円。ゲート管理などの必要経費を除いても毎年110万~260万円が余り、5年間の累積は959万8391円に達したことから、新たな保全事業が可能となった。

 (山梨日日新聞 2013年5月11日付)

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