2012.9.19 News / 自然文化 / 動物・鳥 /

ライチョウ生息環境を整備 環境省が保護計画策定へ

 絶滅危惧種に指定され、南アルプスなど限られた高山帯に生息するとされるライチョウについて、環境省は18日、種の保存法に基づき、生息地の環境整備などを定めた保護増殖事業計画を中央環境審議会野生生物部会に諮問し、原案通り答申を得た。今後、専門家による検討会を設置し具体的な内容を議論する。山梨県内の関係者は「ライチョウの個体数増加につなげてほしい」と期待している。

 ライチョウは国の特別天然記念物で本州中部の高山に生息。ニホンジカによる高山植物の食害で環境が悪化。キツネやカラスに食べられるなどして減少した。1980年代は約3000羽いたとされるが、現在は2000羽以下とされる。

 県内の南アルプスが生息地の最南端とされ、最近は北岳、仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳で目撃情報があるほか、今夏には鳳凰三山で繁殖していることが確認された。

 計画では、山岳ごとの生態を把握し減少した要因を詳細に調べるほか、ニホンジカなどの侵入を防ぎ、生息環境を保全することを規定。各地の動物園で進められている近縁亜種スバールバルライチョウの飼育を通じて、繁殖技術を確立することも盛り込んだ。

 南アルプスで山小屋を経営し、長年ライチョウの姿を見守り続けてきた小林賢さん(63)は「個体数の減少を危惧していたので、国の計画は大歓迎。何が生息に悪影響を与えているかを突き止め、ライチョウが安心して暮らせる環境を整えてほしい」と話した。

 (山梨日日新聞 2012年9月19日付)

月別
年別