染め物 伝統技術体験 南ア・落合小 県内唯一の担い手指導

木綿の生地に糊で絵や名前を書き、伝統の染め物について学ぶ児童ら=南アルプス市古市場

 南アルプス・落合小は、同市古市場の井上染物店で、染め物の伝統技術を学ぶ授業を続けている。染物店7代目当主は、県の郷土伝統工芸品に認定されている「甲州武者のぼり・鯉のぼり」の県内唯一の担い手で、体験授業では、伝統技法を使ったのぼり旗の制作に取り組んでいる。

 作業場に張られた全長約4メートルの木綿の布。「糊で輪郭線を描く作業はのぼりの要です」。11月14日に染物店を訪れた4年生児童13人は、説明に耳を傾けた。
 児童は餅粉や米ぬかなどを調合した糊を筒から絞り出して線を描く「糊置き」の工程を体験。揺れ動く布に苦戦しながら、それぞれの名前や好きなキャラクターを自由に書いていった。
 武者のぼりと鯉のぼりが完成するまでの作業工程について説明を聞く場面もあった。制作したのぼりは、糊が乾いた後に井上さんが染料で染め、約1週間かけて完成させた。
 落合小では約10年前から、伝統工芸を学ぶ社会科の授業の一環で染物店を訪問し、毎年のぼり旗制作に取り組んでいる。

(山梨日日新聞 2025年12月5日掲載)

月別
年別