果樹栽培の先駆者紹介 南アで小野要三郎展 手紙や書籍並ぶ

小野要三郎の生涯と功績を伝える企画展=南アルプス市櫛形生涯学習センター

果樹の出荷に使われていた木箱

 南アルプス市内の果樹栽培の先駆者、小野要三郎(1854~1941年)を紹介する企画展が同市櫛形生涯学習センター市ふるさと人物室で開かれている。直筆の手紙や遺族が保管していた書籍など、ゆかりの品約10点を展示。市内の果樹栽培の歴史を振り返るコーナーもあり、果樹地帯のルーツに触れることができる。

 小野は1854年、中巨摩郡西野村(現南アルプス市)に生まれた。企画した市立中央図書館によると、旧西野村周辺では当時、木綿やタバコ、桑の栽培が盛んだった。小野は93年からスモモの試作を始め、梨や桃、ブドウ栽培にも手を広げたが失敗。中央線が甲府まで開通し、東京都内へ果物を販売することを見据え、果樹栽培の試作を続けた。1907年には新たに土地を開墾し、桃、サクランボ、ブドウを植え付け、本格的に栽培を開始。タバコ栽培が禁止になる中、西野地域を中心に果樹栽培が広がった。
 企画展では、小野の生涯と市の果樹栽培の歴史など三つのコーナーに分けて展示。小野のゆかりの品として、果物を出荷した木箱や、小野家の屋号の焼印、桃の苗木の取引に関する手紙などを紹介している。古代から現在にわたる果樹栽培の歴史を振り返るパネルもあり、「甲州桜桃」「甲州西野のメロン」として出荷に使われていた木箱も展示している。
 図書館担当者は「南アルプス市の果樹栽培の礎となる小野の功績を知ってもらいたい」と話している。企画展は来年3月8日まで。入場無料。

(山梨日日新聞 2025年5月20日掲載)

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