2011.1.20 News / 自然文化 / 動物・鳥 /

南アルプス食害 3県が素案 広域連携でシカ対策 植生復元、予防にも重点

 環境省や山梨、静岡、長野3県の自治体などでつくる南アルプス高山植物等保全対策連絡会は、「南アルプス国立公園ニホンジカ対策方針」の素案をまとめた。ニホンジカによる高山植物の被害対策を進めるため、(1)食害の低減(2)消失した植生の復元(3)食害が見込まれるエリアの予防的措置-の3点を主な目標として、県境を越えて広域的な保全対策の実施を目指す。

 対策方針は、各自治体が共通認識を持つことで、効率的に取り組みを進めるために策定。素案では、対策目標のほか、被害状況などから優先的に対策が必要な保全対象地も明記した。キタダケソウが自生する北岳の南東斜面など、複数のポイントを盛り込んでいる。

 また、環境省によるシカの生息状況の把握など、各機関の役割も定めた。

 19日には、南アルプス市内で、連絡会の会議が開かれ、各機関の担当者が対策方針の素案について意見を交わした。今後、メンバーの意見を踏まえた上で年度内に策定する。

 対策方針によると、南アルプス国立公園内にはキタダケソウなどの希少種を含む多数の高山植物が自生。しかし、1990年代末からシカの食害が報告されるようになり、急速に被害が拡大している。その影響は、全国的にも異例の速度で進んでいて、今後も被害拡大の可能性が高いという。

 (2011年1月20日付 山梨日日新聞)

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