2010.7.16 News / 自然文化 / 地名 /

櫛形山でアヤメ確認 食害対策の防護網効果

 消滅の恐れがある櫛形山のアヤメ群落をめぐり、南アルプス市の櫛形山アヤメ保全対策調査検討会は今季、2007年度に防護ネットを設置し、以降の調査で花が確認されていなかった裸山のネット内で初めて開花を確認した。同検討会は5、15の両日行った植生調査で、ネット内を中心に計約40株の開花を確認。アヤメの減少原因について「野生動物による踏み荒らしや食害の可能性が高い」との見方を示し、今後も防護ネット対策により群落の復活を目指す。

 3千万本を誇った櫛形山のアヤメ群生は1981年に巨摩高自然科学部の調査で減少が指摘され、07年からの急減が確認されている。裸山とアヤメ平の両エリアを合わせた開花数は07年約30株、08、09年は10株程度となっていた。

 アヤメ保護へ向けては、南アルプス市が07年度に同検討会を設置。防護ネットを設けてネット内外のアヤメの育成をみるなどして減少原因の究明を進めてきた。これまでにネット内で芽の数が多かったり、成長率が良かったりと、生育状況がネット外より良好なことが分かっている。

 15日は、裸山の2カ所のネット内で開花状況を調査。約10株の開花を確認し、5日に実施した調査と合わせると計約40株となり、07年度以降最多の開花数となった。同検討会は調査の結果、「シカの食害による要因が大きいと推測され、防護策は開花に効果がある」との見解を示した。

 今秋には、県が市と共同で、これまでで最大規模となる約3600平方メートルの防護ネットを裸山に設置する。同検討会は「防護策によって群落復活の方向性が見えてきた。今後も継続的に調査や対策を進めたい」としている。

【写真】櫛形山の裸山に設置した防護策内で初めて花を咲かせるアヤメ

(2010年7月16日付 山梨日日新聞)

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