アヤメ開花28年ぶりに増加 10→16株 消滅危機の櫛形山群落

 消滅の危機にひんしている櫛形山のアヤメ群落をめぐり、減少が指摘され始めた1981年以来、28年ぶりに開花数が増加に転じたことが、16日までの南アルプス市の調査で分かった。昨年、花をつけたのは10株にまで落ち込んだが、14日の調査では16株で開花を確認した。このうち、市などがシカの食害防止策として設置した防護ネット内で13株が開花していて、アヤメ減少は食害が大きな要因とみられることが明らかになった。保全対策調査検討会は17日、山頂付近で植生調査を行い、育成状況や減少原因を探る。

 櫛形山にはかつて3000万本のアヤメがあった。しかし、1981年に巨摩高自然科学部の調査で減少が指摘され、07年から急激に減ったことが確認されている。

 市みどり自然課によると、14日の調査でアヤメ平13株、裸山3株の計16株で花が咲いているのを確認。全体的な株の生育状況も08年と比べて良く「アヤメは回復に向かっている」(担当者)という。開花数は07年30株、08年10株と減少を続けていた。

 また、07年から設置した食害防止ネット内での開花が目立った。開花数の減少原因をめぐっては「気温上昇の影響」「他の植物による生育阻害」などの見解が浮上しているが、食害を防ぐことで成育に効果があることも分かった。

 現在、防護ネットは櫛形山の5カ所に設置されている。ネットで防護されている面積はかつてのアヤメ群落の1割にも満たないことから、市や検討会は今後もネットを増やしていく考えだ。

【写真】近年減少が続いていたアヤメだが、今年は昨年を上回る16株で開花を確認した(14日)=南アルプス・櫛形山

(2009年7月17日付 山梨日日新聞)

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