偉業、山への思いたどる 愛用品や写真展示 アルピニスト・加藤さん(南ア市)追悼展 来月21日から芦安山岳館

 昨年10月、中国チベット自治区のヒマラヤ高峰クーラカンリで雪崩に遭い死亡した加藤慶信さん=当時(32)、南アルプス市出身=をしのぶ「天空の頂をめざして-加藤慶信追悼展-」(南アルプス市芦安山岳館、明治大主催、山梨日日新聞社、山梨放送、県山岳連盟共催)が6月21日から、南アルプス市の同山岳館で開かれる。加藤さんが愛用していた登山用品のほか、足跡を記録した数々の写真、仲間からの追悼文などを展示。世界を舞台に活躍した若手アルピニストの生涯をたどる。

 加藤さんは白根高卒業後、明治大に進学。同大出身の冒険家、故植村直己さんへのあこがれもあり、山岳部に入部。その後、同部OBでつくる「炉辺会(ろばたかい)」に所属し、ヒマラヤのアンナプルナ1峰(8,091メートル)南壁など世界に14ある8000メートル峰のうち8山を制覇。2005年には、県人として3人目となるエベレスト登頂を果たした。04年に野口賞を受賞している。

 追悼展は「加藤さんの偉業を伝えるとともに、足跡を通して山の素晴らしさを伝えたい」という主催者側の呼び掛けに、家族や友人らが応える形で実現した。8000メートル級のうちマナスルやシシャパンマなど、加藤さんが登頂を果たした登山概要を、8山の写真パネルや本人の文章とともに紹介。「運命のクーラカンリ」と題し、雪崩に巻き込まれた山での記録も紹介、事故発生から収容までを検証する。

 また、加藤さんの偉業を支えた登山靴やリュックサックなどの装備品を展示。子どものころの写真や両親に贈ったエベレストの石のほか、登山仲間からの手紙なども並ぶ。

 同山岳館の塩沢久仙館長は「加藤君の山に登る真摯しんしな姿や人間性を紹介し、市民や南アルプスを訪れる人に山や登山の魅力を知ってほしい」と話している。

 追悼展は来年5月31日まで。開館時間は午前9時-午後5時(水曜、年末年始休館)。入館料は小学生100円、中学生以上200円。問い合わせは同山岳館、電話055(288)2125。

【写真】追悼展では生前に加藤慶信さんが使っていた登山グッズも展示する=南アルプス市芦安山岳館

(2009年5月22日付 山梨日日新聞)

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