南アルプス世界遺産登録へフォーラム開催 住民と一体 意識啓発を

 山梨、長野、静岡の3県にまたがる南アルプスの世界自然遺産登録を目指し、南アルプス世界自然遺産登録推進協議会(会長・小嶋善吉静岡市長)は20日、フォーラムを開き、南アルプスの学術的価値や課題について考えた。今後、地質・地形の調査や、地域住民と一体となった登録への意識啓発に努めることを確認した。

 会場の南アルプス市高度農業情報センターには、三県の学術検討委員会のメンバーら約300人が集結。東大名誉教授で、ユネスコ国内委員を務めた岩槻邦男さんが「世界自然遺産登録に向けて求められるもの」と題して基調講演。岩槻さんと3県の学術検討委正副委員長、山岳写真家の白籏史朗さん=大月市出身=の8人が意見交換した。

 南アルプスには、貴重な石灰岩などの地質やキタダケソウなどの固有種があることを踏まえ、「国内の世界自然遺産に登録されている知床、屋久島、白神山地と比べてもひけをとらない」、「南アルプスの魅力をもっと多くの人に発信すべきだ」などと活発な意見が出た。

 3県の学術検討委員会は、世界自然遺産にふさわしい自然景観や地形・地質の登録基準を証明するための調査を行うことなど3項目を盛り込んだ提言書を小嶋会長に提出。協議会として対応していくことを確認した。

【写真】南アルプスの学術的価値や課題について考えたフォーラム=南アルプス市高度農業情報センター

(2008年12月21日付 山梨日日新聞)

月別
年別