南アルプスのマイカー規制 開始から3カ月 協力金大半が支払い 趣旨・使途の周知課題 「初耳」戸惑う登山客も

 南アルプスの登山口・広河原に通じる林道と県道で、自然保護を目的としたマイカー規制が始まって3カ月。規制に伴う経費に充てるため、通行者に任意で求めている100円の「協力金」は、ほとんどが支払いに応じていて順調な滑り出し。一方、協力金の趣旨を知らない登山客も少なくなく、一部には「協力金がどのように使われるのか分からない」と支払いを拒む人も。秋の行楽シーズンを迎え、関係者は周知活動を強化する考えだ。

99・6%に上る
 「今年から環境保護を目的とした通行規制で、ゲートの維持管理などに充てる協力金をいただいています。協力していただけますか」

 9月27日、南アルプス市芦安芦倉の林道南アルプス線にあるバス・タクシー乗車券売り場。係員が市営駐車場にマイカーで訪れた登山客に、新制度への理解を求めた。横浜市の会社員男性(48)は協力金100円を上乗せした1100円のバスチケットを購入、「南アルプスの世界自然遺産登録に向けた取り組みが進む中、山に登る私たちも環境を守る活動に協力するのは当然」と話した。

 県や地元自治体などでつくる南アルプス山岳交通適正化協議会によると、規制開始の6月25日から8月末までに、両ルートで広河原に行き来したのは延べ4万2551人。このうち協力金を支払ったのは延べ4万2376人で、“協力率”は99・6%に上った。

環境への関心
 事前アンケートでは、規制に「賛成」「やむを得ない」が85・9%、「反対」14・1%だったため、同協議会は「高い協力率に驚いた。環境への関心の高さの表れ」と感想。100円という金額と、バスやタクシーの運賃と合わせて払いやすくした点も要因という。

 一方で、市営駐車場では、マイカー規制は知っていても「協力金を集めていることを初めて聞いた」と戸惑う人も多い。神戸市の会社員男性(48)は「環境保護といっても漠然としていて、どのように保護につながるのか意図が伝わってこなかった」と協力金の支払いを拒否。電車で来県し、バスでJR甲府駅と広河原を行き来する登山客が「マイカーで来ていない」と協力金を拒むケースも目立つという。

浸透に2、3年
 同協議会は規制スタート前にホームページ(HP)や山岳雑誌での告知、チラシ配布を通してPRしてきたが、十分には周知が進んでいない実情を浮き彫りにした格好。担当者は「マイカー規制が排ガス抑制、路肩駐車による植生破壊防止につながる。協力金は任意なので、理解を求め続けていくしかない」と話し、今後、協力金の具体的な使途の公開も含め、一層の情報公開に努める考えだ。

 2003年7月に北アルプス・乗鞍岳の山岳道路「乗鞍エコーライン」のマイカー規制に伴い協力金(バス100円、タクシー300円)を求めている長野県。HPやポスター掲示のほか、コンビニエンスストアやサービスエリアなどドライバーが立ち寄る場所で重点的にチラシを配布した。担当者は「浸透するまで2、3年はかかったが、環境保護意識は確実に高まった。南アルプスでも規制の趣旨を粘り強く伝え、協力を呼び掛けるしかないと思う」と話している。


 マイカー規制と協力金 環境保護などを目的に、南アルプスの広河原へ通じる林道南アルプス線と県道南アルプス公園線の2路線で6月25日から11月9日まで一般車両の通行を禁止し、規制に伴う費用負担の一部をバスやタクシーの利用者に任意で片道100円求める。協力金はゲートの維持管理や仮設トイレの設置費などに充てる。

【写真】林道南アルプス線のバス・タクシー乗車券売り場では、係員がマイカー規制に伴う協力金の支払いに理解を求めている=南アルプス市芦安芦倉

(2008年9月28日付 山梨日日新聞)
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