2016.8.11 News /

伝統の「全校登山」富士、南ア…郷土愛育む

 周囲を山々に囲まれた山梨県内では、教育の一環で「全校登山」に取り組む学校がある。仲間と励まし合いながら困難に挑み絆を深めるとともに、世界文化遺産に登録された富士山や南アルプスなど「地元の山」に親しむことで、郷土愛を育む狙いもあるようだ。

 富士吉田市の吉田中は1997年から、特色ある学校づくりの一環として、全校生徒が参加する富士登山を開始した。中学生の体力などを考慮し、吉田口登山道の中ノ茶屋の手前から登り始め、5合目までを歩く。

 今年は富士山の成り立ちなどを学んだ後、7月3日に約470人が登山に臨んだ。互いに声を掛け、励ましながらの山行。3年の渡辺桃子さんは「仲間との絆が深まり、富士山の偉大さも実感できた。富士山に最も近い中学として、今後も全校富士登山の伝統を続けてほしい」と話す。

 一方、南アルプス市の芦安中は、北岳、仙丈ケ岳、鳳凰三山の順に、毎年1泊2日の日程で登山している。30年近く続く伝統行事で、生徒は3年間かけて地元が誇る名峰を制覇する。

 今年は鳳凰三山の番で、山の歴史をキーワードにした事前学習に取り組み、7月8、9日に生徒15人が挑んだ。三山のうち薬師岳と観音岳に登る計画だったが、悪天候で観音岳のみの登頂となった。3年の名取希歩さんは「自然の厳しさを感じたが、仲間と登ることができて大きな思い出になった」と振り返る。

 北杜市の小淵沢小は、旧小淵沢西小が1957年に始めた編笠山への全校登山を、75年に小淵沢東小と統合した後も引き継いでいる。今年も5月31日、児童と教員ら約350人が山頂コースと中腹コースに分かれて登山した。6年の小林俊介君は「山頂に着くと景色がきれいで疲れが吹っ飛んだ。良い思い出になった」と笑顔を見せた。

 そのほか全校ではないが、大月市の鳥沢小は扇山に6年生が毎年登山、初狩小は高川山に3、4年生が隔年で登っている。早川町の早川南小は七面山に在学中に1度は登れるよう、4~6年生が3年に1度遠足している。

 【写真上】富士山5合目を目指して全校登山する吉田中の生徒(7月)
 【写真下】鳳凰三山への全校登山をする芦安中の生徒ら(7月)

 (山梨日日新聞 2016年8月10日付)
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