自然遺産への影響危惧 リニア意見交換会 南アルプス市

 リニア中央新幹線開業後の県土づくりの指針「リニア活用基本構想」の骨子案について県民と意見交換する5回目の会合が4日、南アルプス・若草生涯学習センターで開かれた。JR東海が南アルプス山脈を貫通するルートを計画していることについて、「世界自然遺産への登録を目指す地元の取り組みに影響を与えかねない」との意見が出た。

 住民約80人が参加。県リニア推進課の担当者が説明した後、10人が意見や質問を述べた。南アルプス市や長野、静岡両県の市町村などが世界自然遺産への登録を目指す南アルプスで、長さ約20キロの長大トンネルが建設されることについて、「地元の取り組みに影響を与えかねない」と疑問を投げ掛ける意見が出た。

 同課の佐藤佳臣課長は「JR東海は動植物や環境への影響をできる限りなくすように計画を進めている。影響はないと考えている」とした。

 浮上走行で生じる磁界の影響について心配したり、県が示したリニア駅の乗降客数予測の根拠について尋ねたりする住民もいた。リニア開業後の町づくりについて、「各市町村が勝手に都市計画を立てるのではなく、県と市町村で連携するように県が指導すべきだ」との意見も出た。

 (山梨日日新聞 2012年10月5日付)

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