希少チョウの卵狙う 南アで高山植物採取容 2人書類送検「ふ化させ標本に」

 国立公園に指定されている南アルプス・広河原周辺の林道で、高山植物のミヤマハタザオを無許可で採取したとして、南アルプス署は21日、自然公園法違反(高山植物採取)の疑いで、東京都墨田区の放射線技師男性(55)と相模原市の会社員男性(47)を書類送検した。ミヤマハタザオは、希少種のクモマツマキチョウが卵を産み付けることで知られ、2人は「チョウの卵が欲しかった」と動機を供述した。県内では、国立公園内を除きクモマツマキチョウの捕獲は禁止されていない。専門家からは希少種保護のため、全域での規制を求める声が出ている。

 2人の送検容疑は6月2日午前10時ごろ、広河原から約500メートル南東の林道で、ミヤマハタザオを無許可で採取した疑い。同署によると、2人がビニール袋に約800株を持っていたところを、パトロール中の署員が発見して職務質問。2人から詳しく事情を聴くなどして、容疑が分かった。

 ミヤマハタザオは、6月に白い小さな花を咲かせるアブラナ科の高山植物で、広河原周辺などに群生している。同署によると、男性2人はチョウの愛好家。調べに対し「ミヤマハタザオに産み付けられた卵をふ化させて剥製にし、標本にしようと思った」と話し、容疑を認めているという。

 県環境科学研究所研究部長の北原正彦さんによると、クモマツマキチョウは、標高1500メートル以上の高山帯に生息するシロチョウ科の希少種。長野では県の天然記念物に指定されており、捕獲が禁止されている。一方、山梨県はレッドデータブックで準絶滅危惧種としているが、「国立公園を除き、県内で捕獲を禁止する規定はない」(県みどり自然課)という。

 クモマツマキチョウはチョウの愛好家から人気が高く、近年では捕獲され、高値で売買されるケースもあるという。北原さんは「数年前は南アルプス以外でも確認することができたが、最近は姿が見られなくなった。希少種を保護するために、捕獲を禁止する必要がある」と話している。

 【写真】ミヤマハタザオの花の蜜を吸うクモマツマキチョウ=南アルプス国立公園内(南アルプス市みどり自然課提供)

(2012年6月22日付 山梨日日新聞)
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