若き登山家の偉業後世に故加藤さんの遺品を常設展示 南アルプス市芦安山岳館 写真、靴など50点

 南アルプス市芦安山岳館は、2008年10月に亡くなったアルピニスト加藤慶信さん=当時(32)、南アルプス市出身=の足跡を残す遺品の常設展示を始めた。「南アルプスの生んだ偉大な登山家の功績をいつまでも後世に伝えたい」(塩沢久仙館長)として、5月末まで行われた企画展終了後も一部の展示品を紹介していく。

 加藤さんは白根高から明治大に進学し山岳部に入部。同部OBの「炉辺ろばた会」に所属し、ヒマラヤのアンナプルナ1峰(8091メートル)南壁など世界に14ある8千メートル峰のうち8山を制覇した。05年、県人として3人目となるエベレスト登頂を果たした。しかし08年、中国チベット自治区にあるヒマラヤ高峰のクーラカンリで雪崩に巻き込まれ亡くなった。

 同館では昨年6月から今年5月まで、故人をしのぶ「天空の頂をめざして-加藤慶信追悼展」を開催。加藤さんの偉業を支えた登山靴やリュックサック、生涯をたどる写真パネル、知人からの追悼文など約200点を展示し、延べ6千人が訪れた。

 常設展では加藤さんの写真や登山靴など50点を紹介。期間は設けず、南アルプスの自然や文化を伝える常設会場の一角で、若きアルピニストの偉業を伝えていく。

 開館時間は午前9時~午後5時。水曜休館。問い合わせは同館、電話055(288)2125。

【写真】故加藤慶信さんの写真や愛用品が並ぶ館内=南アルプス市芦安山岳館

(2010年6月17日付 山梨日日新聞)

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