南アルプスの食害抑止に3県連携 シカ管理方針策定へ

 環境省や山梨、静岡、長野3県の自治体などでつくる南アルプス高山植物等保全対策連絡会は18日、南アルプス市健康福祉センターで会議を行った。南アルプス一帯でシカによる高山植物の食害がみられる中、県境を越えた統一的な対策を推進するため「南アルプス国立公園ニホンジカ管理方針」の策定に向けて検討していくことを確認した。

 連絡会の報告などによると、国立公園内にはキタダケソウなどの希少種を含む多数の高山植物が自生。近年は広域的にシカの姿がみられ、食害が進行している。連絡会は広域的な取り組み推進を目的に昨年設置し、被害実態や調査結果について情報を共有してきた。

 管理方針は、管理目標や対象、役割分担などを取りまとめ、各構成機関が方針に沿って活動する。これまで情報共有のみだった連絡会の活動を推し進め、統一的な取り組み方針を決めることで、効率的、広域的な保全対策に乗り出す考えだ。同方針は年度内にも策定する予定だという。

 一方、環境省は同日、本年度から北岳山頂付近のキタダケソウ、同中腹のホテイアツモリの二つの希少種の保護対策に乗り出すことを報告。キタダケソウは、約150平方メートルの上面と側面を防護ネットで囲う新たな手法でシカの食害から保護していく。ネットの設置は6月に行うという。

(2010年5月19日付 山梨日日新聞)

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