県内の登山家、海外名峰めざす アラスカ、ヒマラヤ… 相次ぎ6000メートル以上に

 山梨県内の登山家が今年春から夏にかけ、相次いで6000メートル級以上の世界の名峰に挑む。「山梨アルパインクラブ」のメンバー4人は、北米最高峰のアラスカ・マッキンリー(6,194メートル)に挑戦。エベレスト登頂の女性最高齢記録(63歳)を樹立した南都留郡富士河口湖町河口の渡辺玉枝さん(65)は、ヒマラヤ・ローツェ(標高8,516メートル)を、北巨摩郡高根町下黒沢の井口功さん(58)は、過去1度しか登頂されていないというヒマラヤのテンギ・ラギ・タウ(6,943メートル)を目指す。6人の登頂が無事成功すれば、県内の登山界にとって“吉報ラッシュ”となりそうだ。

 マッキンリーに挑むのは、山梨アルパインクラブ代表の古屋仁志さん(36)=山梨市三ケ所=のほか、東八代郡御坂町金川原の大沼昭彦さん(31)、甲府市住吉3丁目の金井賢介さん(30)、中巨摩郡竜王町篠原の風間淳志さん(29)。4人は約1年前に登山を決意し、これまでクレバスに落ちた際の救助訓練など登山に向けた準備を入念に積み重ねてきたという。金井さんと風間さんは今回初めて海外での登山に挑戦する。

 古屋さんは1998年にもマッキンリーに挑んだが悪天候で登頂に失敗。「6千メートル級の中でもマッキンリーはほぼ北極圏で登山条件が極めて厳しい。それだけに登山家にとっては魅力的な山だ」(古屋さん)と再挑戦に目を輝かせている。4人は5月下旬に日本をたつ。天候が良ければ6月中旬ごろにも登頂できるという。

 一方、ローツェを目指す渡辺さんは、川崎市のカメラマン村口徳行さん(47)を隊長にした7人編成の登山隊に参加。4月上旬に登山を開始し、登頂は5月10日前後になる見込み。

 渡辺さんは、これまで8千メートル級の登頂に4回成功。「機会があれば(8千メートル級の登頂を)もう一つ、と思っていた」ところ、村口さんから登山に誘われ、今月上旬に挑戦を決めた。

 渡辺さんはエベレストに登った際にローツェを間近で見たという。「クーロアール(急しゅんな岩溝)の傾斜がかなりきつく見えた。登頂成功の鍵はそこにある。急に決めた登山なので、無理せずに行けるところまで行けたらいい」と話している。

 テンギ・ラギ・タウを目指す井口さんは「しばらく登っていなかった海外の山に挑みたい」と、日本山岳会が100周年事業の一環として派遣するシニア登山隊に参加。同隊は57-61歳の6人で編成し、4月上旬から登り始める。

 テンギ・ラギ・タウの登頂にこれまでに成功したのは、世界でも2002年の北海道山岳連盟の登山隊のみとされている。井口さんはこれまでマッキンリーなど数々の名峰を制覇しているが、今回は未踏ルートを行く予定で、「少しだけ無理をして、できる限り高いところまで登ってきたい」と抱負を語る。

【写真】北米最高峰のアラスカ・マッキンリー登頂を目指し、準備に余念がない山梨アルパインクラブ代表の古屋仁志さん=山梨市三ケ所

(2004年3月29日付 山梨日日新聞)

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