南アルプス林道 今シーズンの開通困難に 県が点検 72ヵ所で補修必要

 相次ぐ岩盤崩落で長期にわたり通行止めになっている県営南アルプス林道で、「安全対策が必要」とされる個所が七十二カ所に上ることが七日までに、県が実施している防災総点検の中間報告で分かった。県は十月の詳細報告を待って補修工事など各個所の具体的な対策について検討する。少なくとも十月中の復旧は困難な情勢で、同林道は今シーズン、一度も開通することなく冬期閉鎖に入ることが確実になった。

 防災総点検は同林道で崩落が相次いだのを受け、夜叉神ゲート-広河原間(一四・五キロ)を対象に七月から行っている。山側斜面が三百メートル上部から崩れるケースもあったため、林道付近だけでなく斜面上部の岩盤の強度も調べた。

 これまでの調査で、岩盤のはく離や落石の恐れがあるなど「対策が必要」とされる個所が合計七十二カ所あった。このうち「緊急性が高い」とされる個所も二十七カ所に上った。

 県治山林道課は「想像以上に対策が必要な場所が多い。内容や優先度をしっかり分析したうえで対策を講じたい」として、十月に出される防災総点検の詳細報告を待って、補修や洞門化などの安全対策を検討する方針。すでに南アルプス市や同市の夜叉神観光協会に方針を伝えた。

 同林道は南ア登山の拠点となる広河原とふもとの芦安地区を結ぶ主要ルートで、年間(通常十一月上旬から六月上旬まで冬期閉鎖)約二万七千台が通行している。

 今年は六月以降、通行止めが続き、地元の観光産業に大きな影響を及ぼしている。七十二カ所の安全対策には見通しが立っておらず、今シーズン中は通行止めの解除が困難な状況となった。

(2003年9月8日付 山梨日日新聞)

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