2014.7.23 News / 芦安山岳館 /

【南アルプス臨時支局】北岳山荘に張り紙

「ストック先端にキャップを」 高山植物保護呼び掛け

ストックを両手に持ち、登山道を下る登山者=南アルプス・北岳周辺

ストックを両手に持ち、登山道を下る登山者=南アルプス・北岳周辺

「登山道や高山植物を守るため、雪面以外ではストックの先端にゴムキャップを装着しましょう」-。南アルプス・北岳の南側に位置する北岳山荘の受付には、登山者に協力を呼び掛ける張り紙がある。南アルプスがユネスコエコパークに登録されたことを受け、高山植物などの保護により一層力を入れようと、今シーズンから新たに設置した。

キタダケソウをはじめとする希少な高山植物が登山道沿いに群生する北岳周辺。登山ブームで、初心者からベテランまでさまざまな登山者が入山するようになった。同山荘によると、近年、ストックを使う登山者が増え、登山道脇にある高山植物に先端が当たり、傷付く被害が出ている。

山荘の受付の張り紙には「自然豊かな南アルプスの山々を彩る高山植物の保護に力を入れています」と記載し、登山者にストックキャップの装着を求めている。さらに、高山植物に限らず、多くの草木の根を傷めることや登山道が軟弱化する原因にもなるとする説明も付け加えている。

山荘では、ストックの先端に付けるキャップの販売も開始。山小屋では飲食物や装備などの物価が高いのが一般的だが、多くの登山者に利用してもらおうと、通常の価格で販売している。山荘関係者は「山荘を訪れる登山者には積極的に声を掛け、キャップが装着してあるかを確認し、協力を求めている」と話す。

登山者のストック利用について、南アルプス市芦安山岳館(南アルプス市芦安芦倉)の塩沢久仙館長は「転倒防止や足の負担軽減に効果的なストックだが、足元の高山植物には十分注意を払う必要がある」と指摘。「登山者のマナーとしてごみの持ち帰りと同様に、キャップの装着が当たり前のように徹底されなければならない」と話している。

2014年7月23日付 山梨日日新聞掲載

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