冬山遭難 阻止へ発信 県内 今年の件数、人数が過去最多 県警 動画配信者と連携

 山梨県内で1~11月に発生した山岳遭難件数は183件、遭難者数は210人で、いずれも過去最多を更新したことが17日、県警のまとめで分かった。相次ぐ遭難を受けて県警は登山ユーチューバーと協力し、JR甲府駅のデジタルサイネージで遭難への注意喚起をするなどの取り組みをスタート。県警は「冬山シーズンは、道に迷って滑落する遭難が多い傾向にある。無理のない行程で登山に臨んでほしい」としている。

 県警地域課によると、1~11月に発生した山岳遭難は183件、遭難者数は210人だった。統計が残る1965年以降では、2019年の165件、185人を上回り、過去最多となった。山系別では南アルプス山系が69件で最も多く、大菩薩・道志山系41件、秩父山系40件と続く。富士山は4件だった。
 背景には登山者の増加や、登山者の知識、経験の不足があるという。同課の担当者は県内の冬山登山について「多くの登山者が見込まれ、対策が必要だ。積雪によって登山道が分かりづらくなり、道に迷って滑落するケースがある」と話す。
 山岳遭難の防止につなげようと、県警は登山ユーチューバーとして「かほの登山日記」を配信するかほさんに協力を打診。チャンネル登録者数が約34万人という発信力があり、遭難防止を呼びかけてもらう。
 今月からはJR甲府駅のデジタルサイネージでかほさんが出演する動画を放映しているほか、駅の構内放送でも登山者への注意喚起をしている。県警が作成したチラシでは、かほさんと山岳遭難救助隊員の写真を使用し、登山で気をつけるポイントを紹介。「楽しい冬山登山の調味料」と題し、行動食や防寒対策、体力強化などの重要性を周知している。
 17日には、かほさんを県警の一日山岳遭難救助隊長に委嘱し、JR甲府駅や駅近くのスポーツ用品店で、啓発活動をした。山岳遭難救助隊長の委嘱は初めてで、かほさんは訪れた登山愛好家や駅利用者にチラシを配布した。
 県警は今後、県警公式ユーチューブなどでかほさんと連携した活動を行っていく予定。

(山梨日日新聞 2025年12月18日掲載)

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