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東光会展でM氏奨励賞を受賞し、旧甲府駅待合室に飾られていたこともある代表作「お花畑」(左)=南アルプス市立美術館
甲府市出身の画家土橋芳次(1908~38年)に焦点を当てた展覧会「土橋芳次回顧展」(南アルプス市立美術館、山梨日日新聞社・山梨放送主催)が22日、南アルプス市小笠原の同美術館で開幕した。画家として将来を期待されながら29歳で亡くなった土橋の作品は、戦災で多くが焼失し、残存するのはごくわずか。今展では、遺族から寄贈された作品を中心に、スケッチや資料約60点を展示し、短くも凝縮された画業と生涯を紹介している。 オープニングセレモニーには、遺族の土橋美冨志さん、恵子さんや、美術関係者ら約40人が出席。向山富士雄館長は「山梨の近代美術をもう一度掘り下げるという意味でも、この夭折の作家の生きざまを広く県民に伝えていきたい」とあいさつした。美冨志さんや向山館長、金丸一元南アルプス市長、山梨日日新聞社の西川新代表取締役常務らがテープカットし、開幕を祝った。 土橋の作品はモダンで、明るく伸びやかなものが多い。代表作「お花畑」をはじめ、雄大な八ケ岳を背景に日野春高原の豊かな自然の移ろいを表現した17歳の頃の作品や、東光会展での入選作などが並ぶ。新聞で担当していた連載記事や挿絵、県立農林学校(農林高)勤務時代の病理実験のスケッチなども公開している。 展覧会は来年2月8日まで。
(山梨日日新聞 2025年11月23日掲載)