鋳物師屋遺跡 縄文観に迫る 南ア・伝承館 重文指定30年で記念展

鋳物師屋遺跡出土品を展示する記念展=南アルプス市ふるさと文化伝承館

「子宝の女神 ラヴィ」として親しまれる「円錐形土偶」

土器と土偶が融合した「土偶装飾付土器」
南アルプス市ふるさと文化伝承館(同市野牛島)は、国の重要文化財指定から30年となる鋳物師屋遺跡の出土品205点を一挙公開する記念展「鋳物師屋遺跡の世界観とその仲間たち」を開いている。「子宝の女神 ラヴィ」として親しまれる「円錐形土偶」など、特徴的な土器に類似した県内外の資料も並べて展示することで、“鋳物師屋遺跡縄文人”の世界観に迫る。
鋳物師屋遺跡は、現在の下市之瀬地区の漆川と市之瀬川の合流地点に位置する縄文、平安時代の集落跡。二つの河川の氾濫や土石流に遭い、大量の礫にムラごと覆われていたことで、土器などが良好な状態で出土している。
膨らんだおなかに左手が添えられ、妊婦が胎児をいたわる様子が表現された円錐形土偶(ラヴィ)は、出土品の代表格で、高さ約25センチ。長野県松本市の生妻遺跡から出土した円錐形土偶など、展示された脚部のない土偶はいずれも高さ10センチ程度で、比べると大きさが際立っている。
重要文化財に指定されていない「土偶装飾付土器」も、類似した土器と比較展示している。
展示は12月10日まで。
(山梨日日新聞 2025年11月21日掲載)



