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2003.3.13 所属カテゴリ: 南アルプス / 芦安 / 自然文化 / 地質・火山帯・地下水 /

御坂層群

 山梨県の御坂山地、巨摩、丹沢山塊並びに富士川沿岸の山地や桂川南岸の山地を構成する新第三系のたい積岩類と、海底火山噴出物の溶岩、火山砕屑(さいせつ)岩および石英閃緑(せんりょく)岩を主とした深成岩類などを総称して御坂層群と呼び、新第三紀中新世初期から中期(2500-1200万年前ごろ)にかけてたい積、または貫入した地層である。

 このころの海岸線は、産出する有孔虫化石や海藻化石でわかるように、現在の静岡付近から北上し、甲府盆地の西方25キロほどに及ぶ。さらに東に曲がって桂川の北沿いを通り、相模川沿いに南下して相模湾東部に抜けていたと考えられるし、ある時期には甲府盆地から諏訪湖を通り、さらに秩父盆地を通って北まで広がり、裏日本側に達していたこともあると推定される。深さは20-600メートル前後の比較的浅い海であったものとみられる。

 しかし、絶えず沈降を続ける基盤上に海底での激しい火山活動が続いていたため、厚い地層がたい積し、その厚さはほぼ1万メートルにも達し、6累層に細分することができる。最下位は櫛形山に模式的に発達する玄武岩、安山岩などの溶岩および凝灰角れき岩からなる櫛形山累層、その上位に南アルプス市芦安桃の木に模式的に発達する泥岩を主とする桃の木累層、その上位に下部町和平の東に模式的に発達する安山岩質の火砕岩を主体とする西八代累層、さらに上位三珠町高萩に発達する玄武岩の火山角れき岩を主体とする高萩累層、その上位に西桂町小沼に模式的に発達する石英安山岩質凝灰岩を主体とする小沼累層があり、最上部は河口湖町河口に模式的に発達するれき岩、石英安山岩質凝灰岩、泥岩などを主体とする河口累層である。