1つ前のページに戻る
塩見岳
3047メートル。長野県伊那市と静岡市にまたがる。南アルプス主脈のほぼ中央に位置し、独立峰的な趣があり、深田久弥は『日本百名山』で「漆黒の鉄の兜、あるいはズングリした入道頭」と形容している。東を大井川、北を三峰川、西を塩川が流れ、三峰川と塩川は天竜川に注ぐ。
山頂は東西に分かれ、西峰に三角点がある。展望は360度で、北に農鳥岳が大きい。山頂から尾根が三方に延び、北へ向かえば南アルプス北部の白峰三山や仙丈ケ岳につながり、西から南へカーブして荒川岳、赤石岳へと延びる南アルプス南部に続く。南東へ延びる尾根は蝙蝠岳を経て大井川に落ち込む。西方には日本三大峠の一つに数えられる三伏(さんぷく)峠がある。=【写真】農鳥岳(手前)と塩見岳(左後方)
古くは間ノ岳あるいは荒川岳と呼ばれた。間ノ岳は、仙丈ケ岳や白峰三山と赤石岳へと続く主脈の中間にある目立つ山だったかららしく、荒川岳は北にある南荒川にちなんだものとみられる。古い登山記録には、しばしば間ノ岳として登場する。西麓の長野県大鹿村には塩の付く地名が多い。鹿塩の湯は塩分濃度が極めて高く、塩をとった記録もある。山頂から海が見えるわけではなく、山麓の地名と山名が結び付いたという説が一般的。