2012.9.08 News / 自然文化 / 動物・鳥 /

山中湖の白鳥2羽 南アルプスへ 南伊奈ケ湖小学生の手紙きっかけ 「1羽さみしそう」市長に要望

 南アルプス市に、山中湖村からコブハクチョウのつがいが贈られ、櫛形西小の児童らが7日、同市の南伊奈ケ湖に放した。南伊奈ケ湖には多いときで6羽ほどのハクチョウが生息していたが、野犬やキツネに襲われるなどして次第に減少。現在は1羽だけになり、ハクチョウの世話をしている同小児童から「1羽だけの暮らしはかわいそう」との声が上がっていた。児童の要望を受けた市などが、村に協力を依頼し、2羽の引っ越しが実現した。

 「ハクサブロウが1羽でさみしそうにしています」-。今年3月、同小児童が中込博文市長に宛てた一通の手紙には、多くのハクチョウが仲良く暮らす湖を取り戻したい、との願いが込められていた。

 同小は1972年から40年にわたり、冬場に地域住民からハクチョウの餌となる古米や大豆を募るなど、南伊奈ケ湖のハクチョウを見守る活動を続けてきた。2009年には現在生息する1羽のハクチョウを「ハクサブロウ」と名付けている。

 児童の要望を受けた市は、村と交流があった南アルプスライオンズクラブなどを通じ、山中湖のシンボルとして知られるコブハクチョウを提供してもらえないか、村側に打診。村が快諾し、2羽が市に贈られることになった。

 市によると、贈られたコブハクチョウは現在20~25歳。体長は150センチくらいで、オレンジ色のくちばしと目のまわりが黒いのが特徴という。

 7日は全校児童や関係者約160人が出席し、同小でセレモニーをした後、南伊奈ケ湖にコブハクチョウ2羽を放した。名前は児童から募集し、雄を「ハクマル」、雌を「ハクヒメ」とした。

 児童会長で6年の高石朱莉さん(12)は「1羽だけでは集めた餌も余ってしまい、さみしかった。みんなで大切に見守っていきたい」と話している。

 【写真】コブハクチョウのつがい2羽を放鳥する児童ら=南アルプス・南伊奈ケ湖

 (山梨日日新聞 2012年9月8日付)

月別
年別